DX推進方針
DX POLICY
株式会社精華堂霰総本舗 DX推進方針
制定日:2026年7月1日
代表取締役承認日:2026年7月1日
DX推進に向けた経営ビジョン
株式会社精華堂霰総本舗は、国産有機もち米をはじめとする厳選した原材料と、創業以来培ってきた米菓製造の技術を生かし、安全で品質の高い商品をお客様に提供してきました。
一方、食品製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。原材料費や物流費の上昇、人手不足、消費者ニーズの多様化に加え、食品表示、品質管理及び商品の追跡可能性に対する社会的な要求も高まっています。また、百貨店、生協、自然食スーパー、EC、OEMなど、販売経路ごとに商品仕様や生産数量が異なるため、多品種小ロットの生産に安定して対応できる体制が一層重要になっています。
当社は、このような環境変化に対応し、長年培ってきた製造技術と品質へのこだわりを次の世代へ継承するため、DXを推進します。
当社におけるDXとは、単に新しい機械やシステムを導入することではありません。製造、品質管理、受注、在庫、出荷及び販売に関する情報をデータとして蓄積し、部門を越えて活用することにより、業務及び経営の仕組みを継続的に変革していく取組です。
当社が目指す姿は、熟練者の経験と蓄積したデータを組み合わせることにより、商品の品質を安定させ、異常や不具合を未然に防ぎ、必要な商品を必要な時期に安定して供給できる食品メーカーです。
データ及びデジタル技術を活用し、次の三つを実現します。
第一に、製造条件、検査結果、不良及び手直しに関する情報を蓄積し、品質のばらつきや不具合の原因を継続的に分析できる体制を構築します。
第二に、受注、在庫、生産計画及び出荷に関する情報を連携させ、欠品、過剰在庫、生産の遅れ及び確認作業を削減します。
第三に、EC、OEM及び既存取引先から得られる販売情報や顧客の声を商品開発と生産計画に反映し、市場の変化に柔軟に対応できる事業体制を構築します。
これらの取組を通じて、当社は、伝統的な米菓製造の価値を守りながら、品質向上と安定供給を両立し、お客様から継続的に信頼される企業を目指します。
1-1.ビジネスモデルの方向性
当社は、製造、品質管理、受注、在庫、出荷及び販売に関するデータを部門横断で連携し、多品種小ロットの米菓を、品質を維持しながら需要に応じて安定供給する事業運営へ転換します。
また、EC、OEM及び既存取引先から得られる顧客の反応や販売データを、製造実績及び品質データと照合し、既存商品の改善、新商品開発及び生産計画へ継続的に反映します。
これにより、担当者の経験だけに依存せず、顧客需要と製造能力の双方に基づいて、商品と供給体制を継続的に改善する事業モデルを構築します。
経営ビジョンを実現するためのDX戦略
当社は、品質向上と安定供給をDX推進の中心的な目的とし、次の三つの領域を段階的に変革します。
2-1.製造・包装・品質管理のデータ化
製造工程、包装工程、表示工程及び検査工程で発生する情報を、紙や担当者個人の記録だけに依存せず、継続的に蓄積し、分析できる状態にします。
具体的には、商品、製造日、原材料ロット、製造数量、製造条件、包装条件、検査結果、不良内容、手直し内容及び廃棄数量などの記録項目を整理します。記録方法を統一し、商品別、工程別及び発生原因別に品質状況を把握できる仕組みを整備します。
包装不良、印字不良、ラベルの貼付間違い、賞味期限表示の誤りなどについては、発生件数だけでなく、発生した商品、時間帯、設備、作業条件及び原因を記録します。これらの情報を定期的に分析し、設備設定、作業手順、検査方法及び教育内容の改善に活用します。
包装機、印字機及びラベル貼付装置等の活用により、包装と表示の作業を標準化します。設備による自動化と作業記録のデータ化を組み合わせることで、目視確認や担当者の経験だけに依存しない品質管理体制を構築します。
また、検査結果と製造ロットを関連付けることで、品質上の問題が発生した場合に、対象となる商品、原材料、製造時期及び出荷先を迅速に確認できる状態を目指します。
2-2.受注・在庫・生産・出荷情報の連携
当社では、現在、kintoneを基盤として構築した社内管理システムを利用しています。今後は、このシステムを受注、在庫、生産、品質及び出荷に関する情報共有の中核として活用します。
東京本社、宮城工場及び営業担当者が保有する情報について、kintone上で管理している情報、表計算ファイルで管理している情報及び紙で記録している情報を整理します。重複入力、転記及び担当者ごとの個別管理が発生している業務を特定し、優先順位を付けてkintone上での管理に移行します。
商品名、商品番号、原材料、包装資材、取引先、製造ロット及び納期などの基礎情報について、部門ごとに異なる名称や形式が使用されていないかを確認し、共通の管理ルールを定めます。
受注情報と製品在庫、原材料在庫、包装資材在庫及び生産予定を関連付けることで、欠品、資材不足及び納期遅延の可能性を早期に把握します。また、生産計画の変更内容と納期への影響を、本社と工場の関係者が共通して確認できる状態を整備します。
ECについては、現在、顧客管理システムを利用していますが、kintoneを基盤とする社内管理システムとは連携していません。
今後は、まず両システムの商品コード、顧客区分、受注日、商品別売上及び購入回数などのデータ項目を整理します。その上で、ECの受注・販売データを定期的に社内管理システムへ取り込み、商品別、時期別及び顧客区分別に分析できる状態を構築します。
システム間の自動連携については、データ量、作業削減効果、導入費用及び保守負担を確認した上で判断します。当面は、既存システムを有効活用しながら、無理のない方法でデータの共有と分析を進めます。
2-3.販売・OEM・商品開発へのデータ活用
ECの顧客管理システムに蓄積された購買履歴、商品別売上、購入時期、購入頻度及び顧客から寄せられた意見を整理し、商品開発及び販売施策に活用します。
ECの顧客情報については、個人情報の取扱いとアクセス権限に配慮した上で、必要な範囲の集計情報をkintoneを基盤とする社内管理システムへ取り込みます。これにより、販売実績と製造実績を照合し、需要の変化や商品の評価を生産計画に反映します。
OEMについては、問い合わせ内容、試作内容、見積条件、受注結果、製造条件及び納品後の評価を案件ごとに記録します。過去の案件を検索し、類似する商品、包装仕様及び製造条件を参照できる状態を整備します。
新商品については、試作品の評価、販売数量、購入者の反応、返品、問い合わせ及び製造時の不良情報を一体的に把握します。
販売結果と製造・品質情報を照合することで、顧客から評価される商品特性と、安定して製造できる条件を明らかにします。これにより、担当者個人の経験だけに依存せず、顧客情報と製造実績の双方に基づいて商品を開発・改良する体制へ移行します。
DX推進ロードマップ
当社は、一度に大規模なシステムを導入するのではなく、既存のkintoneを基盤とする社内管理システムを活用しながら、記録の標準化、データの可視化、部門間の連携、経営判断への活用という順序でDXを進めます。
| 期間 | 実施内容 | 到達目標 |
|---|---|---|
| 第1段階: 2027年6月期 |
現在利用しているkintone、ECの顧客管理システム、表計算ファイル及び紙帳票を棚卸しします。製品品質、包装、表示・印字、数量・組合せの不良区分を設定し、品質記録の入力方法を統一します。 | 品質指標の基準値を算出します。各データの管理場所、入力責任者及び利用目的を明確にします。 |
| 第2段階: 2028年6月期 |
製造・包装・品質情報のkintone上での記録を拡大します。受注、在庫、生産及び出荷情報の共有方法を改善します。ECの販売データを定期的に取り込み、商品別の販売状況と生産状況を比較します。 | 品質異常、生産遅延及び在庫差異の原因をデータから分析し、改善活動に利用できる状態を構築します。 |
| 第3段階: 2029年6月期 |
製造、品質、受注、在庫及び販売情報を横断的に分析します。ECの顧客管理システムと社内管理システムについて、費用対効果を踏まえた継続的な連携方法を確立します。 | 品質向上と安定供給に関する成果を確認し、データに基づく判断を商品開発、生産計画及び経営管理に定着させます。 |
ロードマップについては、DX推進会議において四半期ごとに進捗を確認します。また、費用対効果、現場への定着状況及び情報セキュリティ上のリスクを毎年評価し、必要に応じて見直します。
DX推進体制
代表取締役をDX推進責任者とし、経営方針、投資方針及び取組の優先順位を決定します。
当社は取締役会非設置会社であり、役員は取締役1名である代表取締役及び監査役1名で構成されています。業務執行に関する意思決定は代表取締役が行い、DX推進方針及び重要なDX投資についても代表取締役が決定します。
各部門の実務担当者で構成するDX推進チームが、具体的な取組を実行します。監査役は、法令及び定款に基づき、DX推進を含む代表取締役の職務執行を監査します。
| 役割 | 主な責任 |
|---|---|
| DX推進責任者 | 代表取締役が全社方針、投資判断及び進捗評価を統括します。 |
| DX推進事務局 | 管理担当者が計画管理、会議運営、指標の集計、kintoneを基盤とする社内管理システムの運用及び外部事業者との調整を担当します。 |
| 製造担当 | 工場長及び製造担当者が、製造工程、設備稼働、作業時間及び生産計画に関する改善を担当します。 |
| 品質管理担当 | 検査結果、不良、手直し、表示及び製造ロットに関するデータの記録、確認及び分析を担当します。 |
| 営業・販売担当 | 取引先、OEM、EC、受注及び顧客情報の整備と活用を担当します。 |
| 外部専門事業者 | システム設定、データ連携、情報セキュリティ及び専門的な教育について、必要に応じて支援を受けます。 |
DX推進会議は四半期ごとに開催し、次の事項を確認します。
1.品質、不良、手直し及び納期遅延に関する指標
2.kintone上でのデータ整備と利用状況
3.ECの顧客管理システムとのデータ連携状況
4.現場から報告された課題と改善施策
5.ロードマップ及びシステム投資の進捗
品質管理担当者及び各業務担当者は、必要なデータを月次で集計します。DX推進会議では、月次データを四半期単位で分析し、改善施策と担当者を決定します。
代表取締役は、DX推進会議を通じて進捗と成果を確認し、必要な経営資源の配分及び計画の見直しを行います。
デジタル人材の育成・確保
当社は、DXを一部の担当者だけが進める取組とは位置付けません。製造、品質管理、営業及び管理の各担当者が、自らの業務で発生するデータの意味を理解し、業務改善に活用できることを目指します。
全従業員を対象として、情報セキュリティ、個人情報の取扱い、正確なデータ入力の必要性及び不審な電子メールへの対応に関する教育を年1回以上実施します。
DX推進チームの構成員及び各業務でデジタルツールを利用する従業員については、kintone、表計算、データ集計、可視化及び業務改善の基礎を習得するための教育を年1回以上実施します。
製造及び品質管理の担当者については、製造条件、検査結果及び不良情報を正確に記録し、品質の傾向を読み取るための教育を行います。
営業、EC及びOEMの担当者については、顧客情報、購買情報及び案件情報を整理し、商品提案や需要予測に活用するための教育を行います。
また、熟練者が保有する製造上の判断基準や注意点を、作業手順書、画像、動画及び品質記録として残します。熟練者の経験とデータを結び付けることで、技術の継承と若手従業員の早期育成を進めます。
社内で確保することが難しいシステム、データ連携及び情報セキュリティ等の専門知識については、外部専門事業者や外部研修を活用します。
ITシステム環境の整備方針
当社は、現在利用しているkintoneを基盤とする社内管理システムを、DX戦略を実行するための中心的な情報基盤として位置付けます。
第一に、kintone上で管理している業務、表計算ファイルで管理している業務、紙帳票で管理している業務及びECの顧客管理システムで管理している業務を整理します。重複入力、転記、属人的な管理及び情報の分断が生じている業務を明らかにします。
第二に、製品品質、包装、表示・印字及び数量・組合せに関する不良情報を、商品、製造日、製造ロット、工程及び原因と関連付けて記録できるよう、kintone上の入力項目と運用ルールを整備します。
第三に、商品、原材料、包装資材、取引先、製造ロット及び納期などの基礎情報を統一します。同一の商品や取引先について、複数の名称やコードが使用される状態を減らします。
第四に、ECの顧客管理システムとkintoneを基盤とする社内管理システムは、現時点では連携していないため、必要なデータ項目と利用目的を整理します。
当面は、商品別売上、購入時期、購入頻度及び顧客区分など、商品開発と生産計画に必要な集計データを定期的に取り込む方法を整備します。将来的な自動連携については、作業削減効果、導入費用、運用負担及び情報セキュリティを評価した上で判断します。
第五に、新たな機能やシステムを導入する場合は、既存のkintoneとの連携可能性、操作性、費用、拡張性、保守体制及び情報セキュリティを総合的に評価します。既存システムで対応可能な場合は、既存システムの改善を優先します。
第六に、利用者ごとのアクセス権限、パスワード管理、多要素認証、データのバックアップ、端末管理、ソフトウェアの更新及び事故発生時の連絡体制を整備します。
システム投資については、導入すること自体を目的とせず、品質向上、安定供給、作業削減及びデータ活用への効果を確認した上で実施します。
DX戦略の達成状況を測る指標
当社は、品質向上及び安定供給を中心として、DX戦略による成果と計画の進捗を継続的に確認します。
7-1.品質及び安定供給に関する成果指標
| 指標 | 測定内容 | 2029年6月期目標 |
|---|---|---|
| 包装・表示工程の不良率 | 包装数量に対する包装不良及び表示・印字不良の件数を測定します。 | 2027年6月期の基準値から15%削減します。 |
| 品質起因の手直し時間 | 再包装、再検査、ラベル貼り直し、選別及び作り直しに要した時間を測定します。 | 2027年6月期の基準値から15%削減します。 |
| 品質に関する返品・苦情件数 | 製品品質、包装、表示、数量及び組合せの不良を原因とする返品・苦情件数を測定します。 | 2027年6月期の基準値から10%削減します。 |
| 重大な表示・ラベル誤りの 社外流出件数 |
賞味期限、ロット、商品、原材料又はアレルゲン等の重大な表示誤りが出荷後に判明した件数を測定します。 | 年間0件を維持します。 |
| 安定供給に関する納期遅延件数 | 品質不良、原材料・包装資材の不足、生産計画の不整合又は在庫情報の不整合を原因とする納期遅延件数を測定します。 | 2027年6月期の基準値から10%削減します。 |
| 品質記録のデジタル化率 | 対象とする品質記録のうち、kintone上で検索及び集計が可能な状態で記録された割合を測定します。 | 90%以上とします。 |
| 製造ロットの追跡可能率 | 原材料、製造、検査及び出荷情報を製造ロット単位で確認できる主要商品の割合を測定します。 | 主要商品について100%とします。 |
不良については、次の四区分に分類して記録します。
| 不良区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 製品品質不良 | 焼きむら、揚げむら、割れ、欠け、食感、味付け、重量及び異物等に関する不良 |
| 包装不良 | 密封不良、フィルムの噛み込み、袋の破損、トレーのずれ及び包装状態に関する不良 |
| 表示・印字不良 | 賞味期限、ロット番号、商品ラベル、原材料、アレルゲン及びラベル貼付状態に関する不良 |
| 数量・組合せ不良 | 内容数量、商品違い、詰合せ内容及び出荷内容に関する不良 |
不良の原因については、設備設定、原材料、包装資材、作業手順、確認漏れ及び原因調査中などの区分を別途設定し、再発防止に活用します。
7-2.DX計画の進捗指標
| 指標 | 目標 |
|---|---|
| DX推進会議 | 年4回、四半期ごとに開催します。 |
| 品質指標の集計 | 月次で集計し、四半期ごとに分析します。 |
| ECデータの分析 | ECの顧客管理システムから必要な集計データを取り込み、四半期ごとに商品別の分析を行います。 |
| データに基づく業務改善 | 製造、品質、商品開発又は販売に関するデータ分析に基づき、2028年6月期以降、年間2件以上の改善を実施します。 |
| 情報セキュリティ及び 個人情報保護教育 |
全従業員を対象として年1回以上実施します。 |
| デジタルツール活用教育 | DX推進チーム及びデジタルツールを利用する従業員を対象として年1回以上実施します。 |
2027年6月期を基準値の測定期間とします。測定方法、対象工程及び対象商品を統一した上で基準値を算出し、2028年6月期の開始時までに必要に応じて目標値を見直します。
発生頻度が少ない重大な品質事故については、削減率ではなく、発生件数、原因究明、是正措置の完了及び同一原因による再発の有無を確認します。
代表取締役メッセージ
当社は創業以来、原材料を厳選し、製造方法を磨きながら、お客様に安全でおいしい米菓をお届けすることを大切にしてきました。この姿勢は、これからも変わることはありません。
一方で、原材料や物流費の上昇、人手不足、商品の多品種化、食品表示及び品質管理に対する要求の高度化など、当社を取り巻く環境は急速に変化しています。これまでの経験と努力だけに頼る方法では、品質を維持しながら安定供給を続けることが難しくなる可能性があります。
当社がDXを推進する目的は、職人の技術や人の判断をデジタル技術に置き換えることではありません。従業員が培ってきた知識と経験をデータとして共有し、より正確な判断と継続的な改善に生かすことにあります。
製造、品質管理、受注、在庫、出荷及び販売に関する情報をつなぐことで、不具合の兆候を早期に把握し、品質のばらつきを抑え、必要な商品を安定してお届けできる体制を構築します。
また、デジタル技術によって定型的な確認作業や転記作業を減らし、従業員が品質改善、商品開発、お客様への提案及び技術の継承に、より多くの時間を使える会社を目指します。
DXは、システム担当者だけが行う取組ではありません。経営者が責任を持ち、製造、品質管理、営業及び管理の各部門が共通の目的を持って取り組む必要があります。
私は代表取締役として、必要な体制と経営資源を整え、進捗と成果を継続的に確認します。
当社は、伝統を守るために変化を避けるのではなく、伝統と品質を将来へ継承するために変革を進めます。DXを通じて品質向上と安定供給を実現し、お客様、取引先、従業員及び地域社会から信頼され続ける企業を目指します。
当社は、本方針に基づく取組の進捗及び成果を毎年度確認し、必要に応じてDX推進方針及び本Webページの内容を更新します。
株式会社精華堂霰総本舗
代表取締役 清水 敬太














